旧八百津発電所資料館 |
平成10年3月20日国の文化財保護審議会が開催され、旧八百津発電所施設等の
建造物を重要文化財として指定するように文部大臣に答申された。 これをうけ国は、5月1日に官報告示をおこない正式に文化財に指定をした。 |
1.文化財の種別・名称は
(1)種別 近代化遺産
(2)名称 旧八百津発電所苑設 1構(かまえ)(発電所本館・放水口発電所・土地)
2.近代化遺産とは
近代的技術によって造られた産業・交通・土木に関する構築物をいう。
いままでに、全国で碓氷峠鉄道施設はじめ5件の指定があり、今回4件の指定で9件となるが、指定の順番でいくと旧八百津発電所施設は7番目の順位となる。
また、岐阜県内では第1号となる。
3.指定の理由は
明治44年に木曽川水系で初めて建設された水路式の水力発電所で、都市部への大容量高圧送電を担う先駆となった明治末期の発電施設として歴史的にも重要で、当時の発電技術を知ることができる遺構として価値が高いことから指定基準の技術的に優秀なものまた、歴史的価値が高いものに該当し指定される。
4.指定されメリットは
(1)指定物件(構築物)の補修に関し国や県の補助がある。
(県指定の場合補助無し)国が50%、県が10%(上限1千万円)で合わせて60%の補助となる。
(2)指定の報道がされ知名度のアップ・また、観光客等の集客力のアップつながる。
5.施設の活用は
発電・電力・川に関する資料展示が中心になり水力発電のルーツを知る場・電化による生活様式の移り変わりを知る場・川の歴史を知る場などとしての資料館の活用となる。
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この発電所は、明治44年(1911)に木曽川水系最初の本格的発電所として建設され、明治・大正・昭和の三代にわたり活躍してきましたが、昭和31年丸山ダムの竣工と新丸山発電所完成を機に昭和49年に運転休止し、約63年にわたる発電の歴史を閉じました。
本館建物は、発電設備のある棟と送電設備のある棟が一体となっており発電機棟は軒高12mの空間をつくり3基の大型発電機と走行クレーンが設置されています。
送電棟は一階は母線室、二階は配電室で、配電室の床は高電圧に耐えるよう耐火床になっています。この工法は近代重層建築に採用された技法で現存している例は極めて少ないものです。
平成10年5月1日に、発電所施設及び敷地一帯が、国重要文化財に指定されました。
当初の設備は米国モルガン・スミス社製水車4台と、ジェネラル・エレクトリック社製の発電機4台が設置され、出力7,500Kwを発電するもので、当時の日本では有数の発電設備でした。
フランシス水車
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しかし水車の破裂事故を起こし、その原因解明と改良により、日本の水車製造技術が向上し大正13年までに4台とも電業社製に交換され、発電機も芝浦製作所がコイルを巻き換え、出力9,600Kwの発電設備となりました。
この発電所は、電気需要がひっ追した大正6年(1917)に、八百津発電所の放水を利用して造られたもので、出力1,200Kwの発電施設でした、発電設備は日立製作所の発電機1墓を露出型フランシス水車4台で廻すという他に類例のない設備です。4台の錬成水車を低落差用に採用したのは、過度期の使用例であり、日本の水車製造技術の水準と特徴を示す畳重な産業遺産で、現存している例のないものです。 |
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